圧雪車で綺麗に整備された緩・中斜面ばかり滑っていても技術向上には限界があります。弊社トレーニング目標は「自立したオールランダー」の育成です。当然ながらコブ斜面のトレーニングは必修項目となります。特にスプリングコースでは、かぐらスキー場の深いコブ斜面にチャレンジする事が慣例となっています。(スプリングコースの模様はレッスンレポートをご覧下さい)
今日のブログは、かぐらスキー場のコブ斜面に挑戦、三シーズン目にしてコブを征服した二人のスキーヤーの壮絶なる血と汗と涙の物語です。(少し表現がオーバーかな〜)
二人を仮にS&Mと呼ぶことにします。(昼飯に節約の為、スーパーの安売り食パンに賞味期限切れのコロッケを挟んで食べている二人と言えば弊社常連の皆さんは誰だか直ぐにわかると思います。)
S&Mは弊社のトレーニングに三シーズン、何回も参加してくれています。私とは師弟関係に突入したと感じています。(二人はどう思っているかはわからない)
●1シーズン目のS&M
このシーズンはワイドスタンスのカービングターンが大流行。上級者が低速でのワイドスタンスのカービングターンを練習している姿を見ると「馬鹿」と叫びたくなるようなシーズンでした。当然S&Mもワイドスタンスでの練習を希望していましたが私はあくまでも条件に合ったスタンスでの基本練習に徹しました。しかし、S&Mは流行のワイドスタンスの魅力に負け、他で随分練習したようでした。
そしてシーズン終盤、スプリングコースです。私は、いつもワイドで滑るS&Mに言いました。「おまえら二人、かぐらスキー場のコブ斜面では1ターンもできないから覚悟して来い。」(先生がお金を払っている生徒さんにこんな事言っていいのかな〜〜と後で少し反省)
スプリングコース参加後のSからメールが入りました。「落ち込んでます。今シーズンはいったい何を練習していたのかな〜と考えながら帰っています。」S&Mの滑りはかぐらのコブ斜面では全く通用しませんでした。教えた私も少し落ち込こんだ春スキーでした。
●2シーズン目のS&M
内足荷重が大流行。当然の事ながら弊社が行う練習は外足主体の練習です。S&Mがレッスン中に言いました。「先生の練習は自分達が他で習ったスキー学校の理論とは全く逆ですが?」。私は一言「馬鹿やろう、黙れ」。
又、私は時間がある限り滑ることを強制しています。一般スキーヤーは質より量。とにかく滑ることが大、そして様々斜面に慣れることです。そうゆう訳でS&Mもリフト営業開始から終了まで滑っています。ある日、レッスン前にフリーで滑っているS&Mを観察すると手を抜いて滑って箇所が随分有りました。二人をリフト乗り場で捕まえて「お前らは俺にスキーを上手くしてもらおうと思っているな。馬鹿野郎。スキーが上手くなりたかったら自分でやれ。俺は上手くなる手助けはできるがやるのは自分だ!」と一喝。(私は怒鳴った後でいつもながら少し反省)その日のS&Mのレッスンでの集中力は100点満点でした。二人はこの事件を「カウセリング」と命名しています。
そして、スプリングコース。S&Mはコブ斜面で悪戦苦闘、しかし、時々良い滑りができるようになりました。連続写真を撮影すると良い部分が現れるようになりました。練習成果が少しずつ表れてきました。私も少し満足です。S&Mには「カウセリングの成果だ、感謝しろ!」と言って置きました。
●今シーズンのS&M
弊社はシーズン中のメインゲレンデをルーデンス湯沢スキー場に移してトレーニングを開始。ポールトレーニングを多く取り入れました。S&Mはヘルメットを着用、まじめに真剣にポールトレーニングに取り組む。基本セットから応用セットへと進みながらトレーニング。ロングターンのスピードポールでは外力を感じ取ることもできたようです。その結果、荷重動作に進歩が見られました。又、外足荷重の大切も分かったようです。ここがスキー技術の進歩の大きなポイントです。自分自身で体験して、学習して、理解して、実践できるようになる事が大切です。
スキー教師(コーチ)はSAJ中央研修会やスキー雑誌の一部分だけを捉えたテクニックの押し売りはやめて、そのスキーヤーの技術レベルに相応しいトレーニングプログラムを作成・実践するようにしたいものです。
そして、スプリングコース。かぐらスキー場のコブに三シーズン目のチャレンジ。S&Mには横すべりを主体とした初歩的なコブの滑りを徹底して練習。そして、ゆっくりではあるがコントロールして深いコブ斜面を滑り降りるS&M。「コブの上に三シーズン」とりあえず、二人の根性に乾杯です。続きを読む
今日のブログは、かぐらスキー場のコブ斜面に挑戦、三シーズン目にしてコブを征服した二人のスキーヤーの壮絶なる血と汗と涙の物語です。(少し表現がオーバーかな〜)
二人を仮にS&Mと呼ぶことにします。(昼飯に節約の為、スーパーの安売り食パンに賞味期限切れのコロッケを挟んで食べている二人と言えば弊社常連の皆さんは誰だか直ぐにわかると思います。)
S&Mは弊社のトレーニングに三シーズン、何回も参加してくれています。私とは師弟関係に突入したと感じています。(二人はどう思っているかはわからない)
●1シーズン目のS&M
このシーズンはワイドスタンスのカービングターンが大流行。上級者が低速でのワイドスタンスのカービングターンを練習している姿を見ると「馬鹿」と叫びたくなるようなシーズンでした。当然S&Mもワイドスタンスでの練習を希望していましたが私はあくまでも条件に合ったスタンスでの基本練習に徹しました。しかし、S&Mは流行のワイドスタンスの魅力に負け、他で随分練習したようでした。
そしてシーズン終盤、スプリングコースです。私は、いつもワイドで滑るS&Mに言いました。「おまえら二人、かぐらスキー場のコブ斜面では1ターンもできないから覚悟して来い。」(先生がお金を払っている生徒さんにこんな事言っていいのかな〜〜と後で少し反省)
スプリングコース参加後のSからメールが入りました。「落ち込んでます。今シーズンはいったい何を練習していたのかな〜と考えながら帰っています。」S&Mの滑りはかぐらのコブ斜面では全く通用しませんでした。教えた私も少し落ち込こんだ春スキーでした。
●2シーズン目のS&M
内足荷重が大流行。当然の事ながら弊社が行う練習は外足主体の練習です。S&Mがレッスン中に言いました。「先生の練習は自分達が他で習ったスキー学校の理論とは全く逆ですが?」。私は一言「馬鹿やろう、黙れ」。
又、私は時間がある限り滑ることを強制しています。一般スキーヤーは質より量。とにかく滑ることが大、そして様々斜面に慣れることです。そうゆう訳でS&Mもリフト営業開始から終了まで滑っています。ある日、レッスン前にフリーで滑っているS&Mを観察すると手を抜いて滑って箇所が随分有りました。二人をリフト乗り場で捕まえて「お前らは俺にスキーを上手くしてもらおうと思っているな。馬鹿野郎。スキーが上手くなりたかったら自分でやれ。俺は上手くなる手助けはできるがやるのは自分だ!」と一喝。(私は怒鳴った後でいつもながら少し反省)その日のS&Mのレッスンでの集中力は100点満点でした。二人はこの事件を「カウセリング」と命名しています。
そして、スプリングコース。S&Mはコブ斜面で悪戦苦闘、しかし、時々良い滑りができるようになりました。連続写真を撮影すると良い部分が現れるようになりました。練習成果が少しずつ表れてきました。私も少し満足です。S&Mには「カウセリングの成果だ、感謝しろ!」と言って置きました。
●今シーズンのS&M
弊社はシーズン中のメインゲレンデをルーデンス湯沢スキー場に移してトレーニングを開始。ポールトレーニングを多く取り入れました。S&Mはヘルメットを着用、まじめに真剣にポールトレーニングに取り組む。基本セットから応用セットへと進みながらトレーニング。ロングターンのスピードポールでは外力を感じ取ることもできたようです。その結果、荷重動作に進歩が見られました。又、外足荷重の大切も分かったようです。ここがスキー技術の進歩の大きなポイントです。自分自身で体験して、学習して、理解して、実践できるようになる事が大切です。
スキー教師(コーチ)はSAJ中央研修会やスキー雑誌の一部分だけを捉えたテクニックの押し売りはやめて、そのスキーヤーの技術レベルに相応しいトレーニングプログラムを作成・実践するようにしたいものです。
そして、スプリングコース。かぐらスキー場のコブに三シーズン目のチャレンジ。S&Mには横すべりを主体とした初歩的なコブの滑りを徹底して練習。そして、ゆっくりではあるがコントロールして深いコブ斜面を滑り降りるS&M。「コブの上に三シーズン」とりあえず、二人の根性に乾杯です。続きを読む
国語辞典によると「達人」とは、学問・技術に深く通じている人の事を指すそうです。私が考える「スキーの達人」は、技術などに深く通じなくとも、スキーを生活の一部にしながら楽しんでいる人たちです。
好きな小説家の一人「開高建」には、どうしても書けなかったテーマがあったそうです。それは「漂えども沈まず」、人生の達人についてです。平凡な暮らしながら自分のほんとうに好きな事をしながら、浮きもせず沈みもせず淡々と生活している人こそが「人生の達人」ではないだろうか。というのが小説家の考えです。
「スキーの達人」も同じような事が言えます。自分のできる範囲で多少無理をしながらスキーライフをエンジョイしている人が達人を言えます。私の周りには達人が大勢います。
営業開始から終了までリフト係りに嫌われても滑りまくるS&Mさん。仕事が忙しく休めない主人を尻目に滑りまくるH婦人とそれを容認するやさしい旦那。レッスンが終わると直ぐに部屋で飲んだくれるK&Gさん。昼食時にどうしてもビールを我慢できないWさん。ゲレンデで若い女性を見るとすぐに誘いたがるTさん。テクニカルに何回もチャレンジしているHさん。上司に遠慮なく毎週、有給休暇で滑りにくるHさん。公営体育館で密かにオフトレを遂行している秋田・・・社長のHさん。挙げればきりがありません。
開高建の有名な小説に(オーパ)が有ります。皆さんもご承知の通り、ブラジル人は驚いたとき「オーパ」と叫ぶそうです。
しかし、もっと驚くと「アッベ・マリーヤ」と叫ぶ事はあまり知られていません。
「アッベ・マリーヤ!」私の周りはスキーの「達人」だらけです。
好きな小説家の一人「開高建」には、どうしても書けなかったテーマがあったそうです。それは「漂えども沈まず」、人生の達人についてです。平凡な暮らしながら自分のほんとうに好きな事をしながら、浮きもせず沈みもせず淡々と生活している人こそが「人生の達人」ではないだろうか。というのが小説家の考えです。
「スキーの達人」も同じような事が言えます。自分のできる範囲で多少無理をしながらスキーライフをエンジョイしている人が達人を言えます。私の周りには達人が大勢います。
営業開始から終了までリフト係りに嫌われても滑りまくるS&Mさん。仕事が忙しく休めない主人を尻目に滑りまくるH婦人とそれを容認するやさしい旦那。レッスンが終わると直ぐに部屋で飲んだくれるK&Gさん。昼食時にどうしてもビールを我慢できないWさん。ゲレンデで若い女性を見るとすぐに誘いたがるTさん。テクニカルに何回もチャレンジしているHさん。上司に遠慮なく毎週、有給休暇で滑りにくるHさん。公営体育館で密かにオフトレを遂行している秋田・・・社長のHさん。挙げればきりがありません。
開高建の有名な小説に(オーパ)が有ります。皆さんもご承知の通り、ブラジル人は驚いたとき「オーパ」と叫ぶそうです。
しかし、もっと驚くと「アッベ・マリーヤ」と叫ぶ事はあまり知られていません。
「アッベ・マリーヤ!」私の周りはスキーの「達人」だらけです。
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ブログご案内
このブログは指導歴40シーズン、アルペンスキーティーチングプロ、山藤和男のレッスンレポートです。
冬季は越後湯沢で基礎から応用(レーシング・新雪深雪・オフピステ・コブ等)まで、全てのシチュエーションで通用する世界標準の技術をレッスンしています。
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