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アルペンスキーティーチングプロのレッスンレポート

さりげなく格好いい滑り

d035db8d.JPGどんなスポーツでも一流選手の動き(プレイ)を見ると誰もが「格好いい」と感じます。今日のテーマは“さりげなく格好よく滑る”です。

“格好”を辞書で調べると“ちょうどころあいのこと”と記述されています。
数年前、ウィスキーのCMで「何も足さない、何も引かない。」というコピーを憶えていますか。私はこのウィスキーは値段が高いので買った事はありません。(貰って飲んだことはあります。Tさんありがとうございました。今シーズンも下さい。)
しかし、「何も足さない、何も引かない」というフレーズには惹かれるものがありました。それは、スキーテクニックも同じだからです。一流選手が何故“格好”良いのか。それは“丁度良いときに・自分の技量に合わせた・丁度良い動作”を行なうからです。
“格好”の意味“ちょうどころあいのこと”と相通じるものがあります。

“丁度良いときに・丁度よい動作”を行なうには“調整力”とう機能が大切になってきます。調整力の一つを簡単に説明すると、「垂直跳びで80cm位跳べる人が、あるスポーツで30cmしか跳ばなくていい時に80cm跳んでしまったとしたら?」この人は調整力に問題があると言えます。(調整力を大きく分けると6項目に分類できます。しかし各項目が各個別に独立しているわけでなく相互に関連し合っています。)
日本スキー教程では“動きの調整(タイミング・スペイシング・グレイデイング)”とう記述でP46に記載されているので参考にして下さい。
この“動きの調整”する機能を高めるためには、基本動作の反復練習を重視して、神経・筋機構のなかでその動作に対する回路をスムーズに形成することが必要です。だから、基本の反復練習は必要なのです。このあたりを大切にして下さい。(警告:「新テクニックだが習熟度が低い」などと能書きたれて、内始動の練習ばかりしていても調整力は向上しません。)

アルペン競技の一流選手は速く滑ることしか考えていない。悪雪や新雪の名手は雪と対話しながら夢中になって本能で滑っています。だから“さりげなく格好いい”のです。一流選手の一部分のテクニックだけを真似ても格好よく滑ることはできません。真似をするのであれば、一流スキーヤー、全てに共通した基本動作をしっかりと見極めて真似してください。

写真は春の“かぐらスキー場”のコブ斜面を滑るHさんです。以前に比べ、身体の動きがソフトになり、ハイスピードでも安定して深いコブを滑ることができるようになりました。基本の反復練習により調整力が向上したからです。

私は娘に「おとうさん、滑っていると最高に格好(カッコ)いい。」と言われたことがあります。超ウルトラ・ビッグ・スーパー・ハッピーな気分になります。これほど嬉しいことはありません。当然、娘の前では“さりげなく格好つけて”滑ります。今シーズンも「おとうさん、格好いい。」と言われるため、真面目にオフトレもしています。(山藤)

エッジング鑑定士

e747a1d1.JPG自称“エッジング鑑定士”の私は、ゲレンデやオフピステに描かれたエッジング(シュプール)を一見しただけで滑り手の技量を判断することができます。
判断(鑑定)の基準は舵とりにおいて、エッジング運動が“ターン弧の深さ・スピード・斜度・雪質”に合わせてコーディネイトされているかどうかです。今日のテーマはエッジングです。

皆さんは「エッジングとは何ですか?」と聞かれたらどのように答えますか。返答に困る方もいるのではないでしょうか。特に、指導(コーチ)する側はこの当たりがあいまいでは良い指導(コーチ)は出来ません。
日本スキー教程によれば、エッジングとは“荷重、角づけ(あるいは回旋を含む)によってスキー板と雪面の間に生じる力を調節する運動の総称。”と記載されています。
わかりやすく言えば、エッジングとはターンの大部分を占める“舵とり”において、荷重・回旋・角づけの三つの動作を同時におこなうことです。

同時におこなうと言っても、荷重・回旋・角づけの運動の割合は状況によって変化していきます。低速度では荷重(体重を乗せる)と回旋の割合が多くなり、スピードが増すにつれ、回旋は少なくなり荷重(圧を受ける)と角づけする量が多くなります。
自転車を例に挙げると、カーブを曲がるとき、低速ではハンドルをターン内側に回す動きが見られますが、スピードが増すにつれハンドル操作は少なくなり、自転車全体を内側に傾ける動きがたくさん出てきます。ハンドルを回す動作を“回旋”、内側に傾く動きを“角づけ”と考えてもよいでしょう。

話しを少し逸らします。
カーブを曲がるとき、自転車では経験が少ない人でも、スピードや路面の状況に合わせてうまくターン(カーブを曲がる)できますが。しかし、スキーでは経験豊かな人でも、ゲレンデで状況が悪く(変わる)とうまくターンできないのが現状です。
それは、状況を見ながら本能で滑る(エッジングする)ことができないからです。テクニックを考えて、理論(頭)で滑ろうとするからです。又、一つのテクニックに偏りすぎているからです。皆さんは自転車でカーブを曲がるときテクニックや理論を考えていますか。
一つの例を挙げます。最近のゲレンデでは低速であるにも拘らず、カービングターンと称して“傾き(角づけ)をメインにターンしているスキーヤーが多く見られます。この滑りは、低速であるにも拘らずスキーの角づけを優先しています。結果として外力とのバランスが崩れ実際には傾き過ぎで内側に転んでいるのです。しかし、スタンスを広くとっているので内足でなんとか支えて転倒を防いでいるだけなのです。これは内傾ではなくスキー専門用語では「内倒」といいます。このような滑り(テクニック)をカービングターンとは呼びません。勘違いしないようにしましょう。本能で滑るためには基本練習に負けないくらいの応用練習をすることです。様々な斜面を滑ることです。

話を元に戻します。
スキー学校では初心者に直滑降からスタートして両スキーのテールを押し開きながらプルークに移行する練習をします。この練習の目的は二つあります。一つは制動をかけて停止すること、もう一つが“エッジング”の練習であることを見逃さないで下さい。
スキーヤーは誰でも直滑降からプルークへ移行する際に“荷重・回旋・角づけ”三つの動作を行なっています。この動作が“舵とり”におけるエッジングの基本動作なのです。つまらない練習ですが、ここが大切なのです。
この動作をゆっくり行なえばロングターンのエッジング、素早く行なえばショートターンのエッジングへと繋がっていきます。慣れてきたら運動の時間の長さ、力の方向などを変えて様々なパターンを練習すると良いでしょう。そうすることにより、無限にあるターン弧に対応することができるようになります。(どちらかといえば動作をゆっくりおこなうロングターンのエッジングが難しい事に気がつくと思います。)
又、低速で直滑降からプルークへ移行する際には、制動要素を少なくしてスムーズにスキー板を滑らせながらエッジング動作する事に特に注意して下さい。うまく“エッジングしながら滑らせる”こともスキーの基本技術の一つです。
すべらせるということはスキー(エッジング)と雪のコンタクトによってうまれる制動をできるかぎり取り除くことなのです。
初歩の段階にスムーズで流れるようなエッジングを学習したスキーヤーは、都会育ちであってもチャンピオンスポーツ(競技スキー)で通用する確率が上がります。

今シーズンも多くのエッジングを鑑定したいと思っています。
私のこれからの目標はテレビ番組の“なんでも鑑定団”に「エッジング鑑定士」として出演することです。そして有名な大金持ちになり、ローンや借金を早く返済したいと思っています。(山藤)

3年前、娘(当事4歳)に初めてスキーを教えました。この日は当然ながら制動要素の少ないエッジングを目標に練習しました。緩斜面で“エッジングしながら滑らせる”ことを徹底して教えました。(本人はつまらない練習だと言っていました。)学習初期に滑らせるエッジングを練習したおかげでスピードを出す事が楽しく、暴走族のように滑る先シーズンの写真です。親馬鹿ですがエッジングは良いと思います。(滑走日数は全部で18日程です)
初心者のレッスン程、難しさと責任を感じます。何故ならば最初に記憶させた動作がその後のスキー技術に大きな影響を与えるからです。

青春とオフトレ

車のラジオから、“少年時代”が流れてきた。この曲を聴くたび胸が痛み、ブレーキを踏み忘れ、信号無視して追突しそうになる。(注:狭心症ではありません。)
この唄はご存知の通り映画の主題歌です。原作は“長い道”という小説で北陸・富山を舞台に戦時中、東京から疎開してきた少年と地元少年との物語です。映画の1シーン、“田んぼの中の長い真直ぐな道の先にある木造の小学校の風景”が印象的でした。
中学2年生から高校3年までの5年間、富山の田舎で暮らしました。(注:疎開ではありません)
中学では野球部、高校ではスキー部に所属。どちらでも基礎体力トレーニングと称して真直ぐな“田んぼのあぜ道”を反吐がでるまで走らされた懐かしい記憶があります。私にとって“田んぼの中の長い道”は映画とは少し違うが、大切な青春の1シーンなのです。

青春していたあの頃、たしか体重は63Kgぐらいだった記憶が残っている。現在の体重は71Kg。ヘルスメーターの容赦ないデジタル表示の前で思わず「ウ〜〜〜〜ン」。息を吐いても同じ。爪先立ちしても変わらない。
そして決心しました。人間社会の中で汚染されてしまった中年おじさんのマインドを元に戻すことは無理かもしれない。せめて体重だけでも青春に戻そう。ついでに“割れた腹筋”も復活させよう。再びジーパンとTシャツが似合う男になろう!
青春とは肉体ではなく「心の中にある」という考えにも賛成。しかし、スキーをスポーツとして捉えた場合、「ある程度」の体力は必要です。生理的限界を高めないことには心理的限界も高くはならない。
そうゆうわけで毎日、基礎体力中心のオフトレしています。ジョギング60分(心拍数120前後)、+筋トレ(1日おき)+ストレッチングが現在の日課です。そして、たまには息が切れて死にそうになるまで全力で走っています。

皆さん、オフトレどうしてますか。冬に「スキー滑走で体力をつける。」などといった甘い考えは捨ててください。
一般スキーヤーの場合、この時季、専門的トレーニングをおこなう必要はありません。まず、体を動かし、体のバランスを整えることが大切です。全てのスポーツの基本となる基礎体力を養う事です。(特に太りすぎに注意してください)
10月上旬位を目安に基礎体力を仕上げましょう。スキーの専門体力トレーニングはそれから始めても大丈夫です。又、その方がトレーニング効果も上がります。

スキーの為、オフシーズン努力しないスキーヤーはレジャースキーの領域から出ることはできません。レジャースキーでは真のスキーを体験することはできません。
スポーツとしてのスキーほど楽しく、魅力的で、素晴らしいものはありません。

今日の結論
スキーに対して、自分なりの夢(目標)を持ちましょう。そして、実現に向かって少しでも努力しましょう。特に中高年スキーヤー頑張って下さい。これも青春です。

スキーの専門体力では「重力による加速をコントロール」する調整力も大切な要素です。この体力(能力)は基礎体力トレーニングの中でもできます。(このトレーニング方法を知りたい方はメールしてください。限定5名、無料でレクチャーします。)
来週はエッジングについて哲学します。(山藤)
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ブログご案内
このブログは指導歴40シーズン、アルペンスキーティーチングプロ、山藤和男のレッスンレポートです。 冬季は越後湯沢で基礎から応用(レーシング・新雪深雪・オフピステ・コブ等)まで、全てのシチュエーションで通用する世界標準の技術をレッスンしています。