ポールバリエーション

レッスンなどで練習するバリエーション・トレーニングにはいくつかの目的あります。基本動作を身に付けるもの、欠点を矯正するもの、ある技術をいくつかのパートに分けて、それぞれに必要な部分練習をおこなうものなど、目的やレベルに合わせていろいろなバリエーションが存在します。
スキー学校が病院だとします。生徒さんは受診者、スキー教師は医者です。医者は患者を診断し、それに合わせた治療をおこないます。そして患者の症状に合わせた薬を処方する必要があります。この薬をバリエーションと考えても良いでしょう。今日のテーマはバリエーションです。

バリエーション・トレーニングをおこなう際に注意する事は次のとおりです。
●十分に診断して症状に合わせた薬(バリエーション)を処方すること
どのスキー場でも、同じバリエーションでトレーニングする風景を見かけます。しかし、良く考えて下さい。日本の一般スキーヤーは全て同じ欠点を持っているのか?・・・。又、そのバリエーション・トレーニングがある技術のパート練習だとしても、その技術がゲレンデの一般スキーヤー全てに必要な技術なのか?・・・。一つの技術(テクニック)だけに固執してトレーニングして上達するのか?・・・。
ヤブ医者(教師)はナショナルプログラム(注:スキー専門誌や中央研修会等で取り上げられた一部テクニック)の薬(バリエーション)しか投薬できません。
●薬(バリエーション)には副作用がある
新しい動作(テクニック)や自分の欠点を矯正するためにバリエーション・トレーニングでは、運動をオーバーに行なう事が大切です。学習初期ではオーバーに運動して丁度良いくらいの動作になります。
しかし、オーバーにレーニングして身に付けた運動はターン全体ではターンを構成する他の必要な運動と釣り合いがとれるように調和させることが必要です。(局面融合)
ターンの一部分を矯正するバリエーション・レーニングは、やり過ぎるとターンを構成す他の運動に弊害を及ぼす副作用が有る事に気が付いてください。
スキーで一番大切な事は状況に合わせた運動の応用です。同じ状況で同じ練習ばかりしても応用力(調整力)は身につきません。
●効き目がなければ、治療中でも薬(バリエーション)変える勇気が必要
同じバリエーション・トレーニングを何日練習しても成果が出ない場合は、違うバリエーションで練習してみましょう。ほんの少しバリエーションの動作方法を変えるだけで効果が上がることも有ります。成果が出ないのに、一つの練習方法だけに捕らわれて繰り返しトレーニングする事ほど退屈で馬鹿らしい事は有りません。又、このような状況を続けて滑っていると、必ず“自己流(癖がつく)”になります。一生懸命練習して自己流に成るのです。惨めです。
●全ての症状に効く万能薬(バリエーション・トレーニング)とは
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写真のバリエーション・トレーニングは“規制された中で先を読みながら、ターンの求めている深さに合った運動をしながらスキーをまわすスピードを決定する”が目的のバリエーション・トレーニングです。上体は二つ先のショートポールへ向ける(上体の外向)、スキー板は一つ先のショートポールに向いていることが練習ポイントです。このバリエーションは写真のモデルAさんのように上級スキーヤー(前後のバランス調整ができる)に相応しいトレーニングです。数年前、日本の基礎スキーではカービング・ターンはターン後半も正対・内傾”という考え方と指導が主流を占めましたが大きな間違いです。上体とスキー板が正対する箇所はフォールライン上とういう考え方が基本です。

私(山藤)が得意なバリエーション以外の治療は、診断後いきなり麻酔なしで外科的大手術をする事です。体はバラバラ、出血多量、痛みに耐え切れず雪上で気絶する患者も多発。しかし、完治は早く、どなたでもオールラウンドスキーヤーに生まれ変わります。(痛みの伴わない改革は無いのです。どこかの国の政治と同じです。)